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Accounting Division's Column



 ― 経理担当者の笑えない話 <その1> ―
                                                  <2008年6月5日号>

 ・・・それで、店長は、この領収書を本当に書いた覚えはないんですね。
と、鋭い尋問の ような、叱責するかの詰問を、税務署の調査官が、昼間の客のいない時間帯での
居酒屋の客間で、調査を受けているこの会社の店長になげかけていた。
 私は、この会社の会計処理 を受託していて、税務調査に立ち会っていた。
事件の発端は、この居酒屋に足しげく通う 常連の中で、誰もが知っている、キャラクター人形等の
多角的経営をしている会社の課長が、飲食代支払時に、
 ・・・領収書をくれないか?、白紙でいいから、上様でいいから・・・と
店長に頼んでもらっていた領収書に、自分が金額を多めに記載し、会社の経理課に、交際費として
提出し、決済を受けていた。

 税務署では、この会社の調査で、ある疑念を抱いた。
経費として計上した領収書の枚数が多かったことと、記載されている日付の筆跡と、金額の筆跡が
微妙に違うこと、全体的に領収書に統一が取れていないことなどにより、裏づけを取ることだけでなく、
居酒屋のように、現金商売の業種では、現金を抜く(売上除外)ところがあるとされている
(全部ではないが)ため、この領収書を発行した居酒屋での本調査をすることとなったのである。
 税務署の考えでは、どちらかが嘘をついているとの意思のもと、担当者との質疑応答により、
真実はどちらにあるのかを見極めようとしていた。

 以下が、確認のポイントである。
  @ 領収書に記載されている日付、飲食代金の筆跡、ボールペンの色
   (複写したものもある) が同一でない。
  A 店長の筆跡を書かせ、確認した。----比較するため
  B この居酒屋で、誰が領収書を書くのかの確認。他の人は書かないのか。
  C 領収書を顧客に渡す時の、スタイル
   (白紙か、日付は書くか、店の住所屋号等の記載は どうか、など)
  D 領収した金額を2枚の領収書にしていないか
   (領収書をもらった人が、決済に都合が良 いように分けて使用する場合がある)

 これらにより、店長は、金額だけ空欄の領収書、日付・金額とも記載のない領収書を、顧客に
渡していたことがわかり、筆跡から、顧客側で、経費過大記載をしていたことがわかったが、
これを表面化して白黒をつけることになると、居酒屋としては、よく利用してくれる顧客が離れてしまう
ことにもなるので、営業妨害になることは止めてもらいたい。事業の死活問題ともなることを説明し、
ぜひ穏便に済むよう取り計らってもらいたいとの要望を居酒屋の社長が口頭で調査官に述べたが、
居酒屋側にも会計上の処理に謝りがあったわけで、どちらかに税金を払っていただくのが筋でしょう、
との冷たい言葉に、われわれは 沈黙せざるをえなかった。

 単なる簿記の処理としての会計は無味乾燥であるが、生きた会計とは、このような事案を
知ることにより、会計処理が他にどう影響するのか、注意すべき視点はどこにあるのかを理解すると、
今までの見方が随分と違ってくることを教えてくれた事件だったと思う。
領収書には、@日付、A相手先、B金額、C使途(目的用途)が必要であり、会計処理において、
これらを参考にして、D勘定科目を設定し処理することとなる。
                              

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