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Accounting Division's Column
― 真実な報告とは・・・ ―
<2008年7月22日号>
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企業が公表する財務諸表は、企業を取り巻く多くの利害関係者が自身の経済的意思決定に
資するために利用する重要な資料です。
投資者(株主と潜在的な株主)は財務諸表を元に、投資するか否かの意思決定を行います。
また、金融機関等の債権者は、財務諸表を元に資金の貸付を行うか否かの意思決定を行います。
そのため、もし財務諸表に重大な誤りがあるとしたら、多くの利害関係者は経済的意思決定を誤り、
不測の損害を被ることとなり、ひいては資本主義の根幹を揺るがすことになりかねません。
そこで、我が国では、会社法、金融証券取引法(旧証券取引法)、税法等の規制を設け、
一般に公正妥当と認められる企業会計の原則に基づき財務諸表を作成し、公表することを
求めています。
企業会計原則の冒頭に、「企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、
真実な報告を提供するものでなければならない」とあります(企業会計原則第一一般原則一)。
一般に、「真実性の原則」と言われ、企業会計の最高規範に位置づけられる規程です。
「真実な報告」の真実とはいかなるものでしょうか?
財務諸表は、「記録された事実と会計上の慣習と個人的判断の総合的な表現」であると言われ、
時代や場所によって変化する「相対的真実」を意味します。
たとえば、イタリアの大航海時代の会計と現在の会計では、真実の内容は異なります。
また、現在のアメリカの会計と我が国の会計でも真実の内容は異なります。このように、
利害関係者の経済意思決定を誤らせないように、真実な報告を求めているにもかかわらず、
その真実とは相対的なものなのです。
真実な報告についてもう少し考えてみましょう。
たとえば、企業が製品を生産するための特殊な工作機械を期首に5,000万円で購入した場合、
購入した時は5,000万円で資産計上し、決算の時には、減価償却費1,000万円を差引いた
4,000万円が貸借対照表の資産に計上されると思います。(定額法、残存価額ゼロ、耐用年数5年)
これは果たして本当に真実な報告なのでしょうか?
当初の予想に反して製品の需要がほとんどなく、購入した工作機械が役立っていないので、
中古市場にて1,500万円で売却する予定であったとします。
この場合でも、資産価額を4,000万円で評価することが真実な報告なのでしょうか?
資産価額は1,500万円だとも考えられます。 また、いくら中古市場での売却額が1,500万円で
あったとしても、購入した工作機械が企業にとってかけがえのない資産である場合、
一律に1,500万円で評価することが、真実な報告なのでしょうか?
さらに、購入した工作機械により、1年後に5億円、2年後に8億円、3年後に10億円の利益を
あげる場合、企業からすれば、かけがえのない資産であり、一律に4,000万円で評価することが
真実な報告なのでしょうか?
20.6億(資産計上額)=(5億÷1.05)+(8億÷1.05÷1.05)+(10億÷1.05÷1.05÷1.05)
上記のように、見込まれる利益を資本コスト(5%)で割り引いた価額が適切かもしれません。
会計とは認識し、測定し、記録する行為です。
認識できないものは、記録することはできません。また、測定できないものについても、
記録することができませんので、何か一律の基準を設け、処理することになります。
真実な報告をしようにも、おのずとそこには限界があり、一律な基準を
設けることは困難なことです。 真実な報告を実現するために日々研究が行われ、
日進月歩で進化しています。
いつの日か、ヒトも入社した時に資産計上される時代がくるかもしれません・・・。
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